古川美術館 新春企画展 「芸術三昧 長寿の美」

※こちらの展覧会は終了いたしました。

横山大観、小倉遊亀、奥村土牛、上村松篁、前田青邨、伊藤小坡、杉本健吉など、多くの傑作を残した巨匠たち。長寿に恵まれた彼らは、命ある限り描き続け、芸術の道、画業の道一筋に生き、日本美術史上に今も燦然と名を輝かせています。
本展は古川美術館が所蔵する作品の中から長寿の画家に焦点を当て、その作品と、芸術三昧に生きた生涯をあわせてご紹介いたします。

期間 2006年1月2日(月曜日・祝日)~2月26日(日曜日)
主催 財団法人古川会 / 古川美術館
後援

愛知県教育委員会 / 名古屋市教育委員会

展示品の見所
本展は芸術の道に生き、数多くの傑作を残し、また現在も活動を続けている画家に焦点を当て、芸術一筋に生きた長寿の美について紹介します。(約30点)

テーマ(1)
105歳の天寿を全うした小倉遊亀や、101歳まで生きた奥村土牛等を取り上げ、その長寿ゆえにたどり着いた境地、作風を探ります。また上村松篁をはじめとする花鳥や風景を愛した画家の作品を紹介します。

  • 天寿 : 小倉遊亀「花菖蒲」 日本画 額装
  • 花鳥を愛して : 上村松篁「立葵」 日本画 額装
  • 風景に魅せられて : 宇田荻邨「山水図」 日本画 六曲一隻屏風

小倉遊亀は、横浜の女学校で教鞭をとりながら絵を独学していた。25歳の時、大磯の安田靫彦に直談判し、熱意が通じて師弟の関係が始まった。「絵は自分自身である」と遊亀は言う。この花菖蒲は、淡い藤色の花を中心に、花も葉もたっぷりと絵具を含ませた筆で描かれている。その豊かな画面からは何者をも大らかに包み込んでくれるような遊亀の生命力が伝わってくる。 平成12年、靫彦への入門から80年という長きにわたる絵画人生は、105歳で幕を閉じた。

テーマ(2)
横山大観、杉本健吉など日本画・洋画の各界における長寿の画家をとりあげ、その芸術性の違いや共通性などを追います。

  • 日本画 : 横山大観「海暾」 日本画 軸装
  • 洋画 : 杉本健吉「牡丹」 油彩画 額装
  • 洋画 : 脇田和「鳩を飼う人」 油彩画 額装

杉本健吉は、一貫して名古屋を拠点とし、洋画・日本画というジャンルにとらわれず、70年以上にわたり多くの作品を残している。彼は「つくり絵」を好まず、自身の感動を第一に制作を続け、自らの心情に訴えかけるすべてのものに温かい眼差しを向け、自然に生まれてくる絵を大切にした画家であった。そんな彼の作品「牡丹」は、対象の形をただ写し取っただけではなく、その物の持つ本質を画家に収め、実物以上の存在感、迫力を感じさせるものとなっている。

テーマ(3)
命ある限り描きつづけた画家の人生、生き方に焦点をあて画家の特徴的な作品それぞれの美を探ります。

  • 向井潤吉「武蔵野の春」 油彩画 軸装
  • 伊藤小坡「春寒」 日本画 軸装
  • 川合玉堂「秋山渓聲・湖畔夕照」 日本画 六曲一双屏風

伊藤小坡は、三重県伊勢市にある猿田彦神社の宮司の長女として生まれ、21歳の時京都に出て、森川曽文、谷口香きょうのもとで本格的に絵を学ぶ。その後、同門の伊藤鷺城(又次)と結婚。
皇后陛下の御前での揮毫や帝展入選など、さまざまな場で活躍し、1968年(昭和43年)、90歳で逝去する。画家でありながら、温かな家庭を築いた小坡の作品は、女性らしい情緒豊かで暖かみのある作品が特徴といえる。