古川美術館 特別展 「卒寿記念 藤森兼明 祈りの輝き ― 10の視点が紡ぐ物語」

90歳を迎えた画家・藤森兼明の創作の歩みを、幼い頃から一貫して描き続ける「人の姿」と、生涯のテーマとした「祈りの美」を大きな柱として、10つの視点を交えて辿ります。
「人の姿」では、故郷富山県での美術学校時代、就職を転機とした十数年のブランク期、愛知県での再出発、画家としてのテーマ探求期といった画業の前半期が中心となります。家族、友人など身近な人々を描いた初期作品、名古屋にアトリエを構えた頃に描いた穏和な室内女性像、古川美術館が出会いの場となった世界的アーティスト・喜多郎を描いた日展出品作など、バラエティに富む人物の姿が見られます。古川美術館には、技術習得やテーマ探求期となる画業前半期の膨大な数のデッサンが収蔵されています。その中から紹介するブランク期のデッサンや、完成図と照らし合わせられるデッサンは、見どころの一つです。
キリスト教美術と現代女性像を融合させた「祈りの美」は、藤森が画家として確立したテーマです。ここでは、ビザンチン時代の聖堂内を覆うモザイクやフレスコによるイコン壁画を背景とした「アドレーション」シリーズ、金と色彩で荘厳された中世キリスト教の「写本(マニスクリプト)」シリーズを、創造の源泉となるイコン、写本などの藤森コレクションと合わせて展観します。また、特別公開として、中世美術の粋を凝縮した、奇跡の彩飾写本『ブシコー派の画家の時禱書』(1412年頃 古川美術館蔵)と、それに触発された藤森作品2点を同時に公開します。600年以上の時を経て、金と色彩による「祈りの美」が共演します。藤森芸術の神髄ともいえる、祈りと女性像の融合した世界をご堪能ください。
藤森が、美の巡礼で出会い、創造の源泉としたビザンチン美術と中世の彩飾写本は、輝く祈りの遺産です。現代の藤森が築いた「祈りの美」もまた、精神性と芸術性が響き合う、時をこえて光りつづける美の系譜となることでしょう。

藤森兼明「アドレーション オブ マギ」2020年 古川美術館蔵

藤森兼明「ビザンチンの光」1991年 砺波市美術館蔵
第77回光風会展つばき賞(評議員賞)

『ブシコー派の画家の時禱書』より「マギの礼拝」1412年頃 古川美術館蔵

「ブシコー派の画家の時禱書」より「エジプトへの逃避」1412年頃 古川美術館蔵

 

 

 

 

 会期  2025年10月25日(土)~12月21日(日)
 休館日  月曜日(但し、11月3日(月・祝)は開館、翌4日(火)休館)
 会場  古川美術館
 主催  公益財団法人古川知足会
 後援
 愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会、中日新聞社、CBCテレビ、東海テレビ、
 スターキャット株式会社
 開館時間  午前10時~午後5時 (入館は午後4時30分まで)
 チケット委託  チケットぴあ:コード:687-312       販売期間9/10~12/21
 セブンイレブンコード:112-137        販売期間9/10~12/21
 ファミリーマートコード:cn- 37655      販売期間9/10~12/21
 アートスティッカー:QRコード発行7/18予定 販売期間9/10~12/21

 

分館 爲三郎記念館特別展「光彩の径 加藤令吉展」

背戸窯の22代目として生まれた加藤令吉は、父・加藤釥に若い頃より伝統技法を叩き込まれ、その基盤の中に現代の要素を取り入れた作風を展開させてきました。伝統を受け継ぎつつも、自分の作陶世界を追及する歩みには、常に斬新な視点と洗練された感性がありました。また大学時代より憧憬するクリムトの作品に触発され、陶と金属の融合を作陶のテーマとしてきました。異素材の融合は、加藤令吉の装飾性を高め、現在では作者の代名詞でもあります。
 過去作には、大胆なフォルム展開と、土自体に彫刻を施す装飾方法が取られており、造形と土本来の力強さが感じられます。そして次第に器に文様を描きこんで装飾するという方法に大きく変化し、黒釉金銀彩や幻青シリーズへと発展してきました。それは「融合しないものを融合させること」を主題に、鉄の顔料を用いた器体に赤や金彩の文様をほどこした表現であり、新たな挑戦でした。施された文様はいずれも幾何学的なもので、かねてより作品に漂っていたモダンな雰囲気が、さらに洗練されて表出されました。そして多色による装飾の表現から、近年、新たに編み出した表現は単色による幽玄な世界でした。それは白を基調とした地に金彩で装飾を描き出すスタイルで、装飾と造形、その二つが融合した新たな世界を見ることができるのです。初期作と新作を展示する本展では、スタイルを幾度と変えながらも、一貫して追求した伝統の手法と陶魂に裏打ちされた斬新で自由豪放なエネルギーをお楽しみください。

加藤令吉「煌射」2024年第11回日展出品

加藤令吉「緑霞悠景」2020年改組第7回日展

加藤令吉「宙‐光幻」2019年

加藤令吉「悠久」1997年 第29回日展特選 瀬戸市美術館蔵

 

 

 会期  2025年10月25日(土)~12月21日(日)
 休館日  月曜日(但し、11月3日(月・祝)は開館、翌4日(火)休館)
 会場  公益財団法人古川知足会 爲三郎記念館(旧古川爲三郎邸)
 主催  公益財団法人古川知足会
 後援
 愛知県教育委員会 名古屋市教育委員会 瀬戸市 瀬戸市教育委員会 
 公益財団法人瀬戸市文化振興財団 瀬戸市文化協会
 中日新聞 CBCテレビ 東海テレビ テレビ愛知 スターキャット株式会社
 チケット委託
 チケットぴあ:コード:000-000        販売期間9/10~12/21
 セブンイレブンコード:000-000        販売期間9/10~12/21
 ファミリーマートコード:cn- 00000      販売期間9/10~12/21
 アートスティッカー:QRコード発行7/18予定 販売期間9/10~12/21