※こちらの展覧会は終了いたしました。
古川美術館と分館爲三郎記念館の両館共催で、美術館では、木版画家 ジュディ・オング倩玉(※倩は正しくは人偏に青)の木版画の世界、そして分館爲三郎記念館では、名古屋の伝統芸術である有松絞りの作家で、研究者でもある竹田耕三の絞り作品を紹介します。題名の「愛・逢・藍」には、日本・台湾と二つの故郷を持っておられるジュディ・オング倩玉がそれぞれの故郷に寄せる「愛(Love)」と竹田耕三の藍染の「藍(Indigo)」が、古川美術館で出「逢(Meet)」という意味があります。今回、その異分野の二つがぶつかり合い、他では観ることのできない新しいコラボレーション作品が誕生しました。本展ではそのコラボレーション作品を記念館に展示します。二人の奇跡の競演をお見逃しなく。
【古川美術館 “版画家ジュディ・オング倩玉の木版画の世界”】
歌手、女優として世界を舞台に活躍するジュディ・オングは、「倩玉(せいぎょく)」(※倩は正しくは人偏に青)の雅号で伝統的な日本家屋や庭園、花などを題材とし次々と作品を発表しています。本展では、日本と中国・台湾の二つの故郷を持つジュディ・オング倩玉が愛した日本と中国それぞれの風景を、日展特選作品を含む傑作を交えながらご紹介します。
≪ジュディ・オング倩玉≫
台湾生まれ。3歳で来日し、9歳の時劇団ひまわり入団。
女優として11歳の時に日合作映画「大津波」でデビューする。その後世界を股に掛けてテレビドラマ、映画、舞台に多数出演。
歌手デビューは16歳、数々のヒットを飛ばし、中華圏で「祈祷」「愛の奉献」、
日本では1979年に「魅せられて」が大ヒットし、日本レコード大賞を受賞。
25歳の頃、棟方志功門下生の井上勝江氏のもとで木版画を始める。
雅号「ジュディ・オング玉」を前面に出し、木版画の活動に一層力を入れる。
1983年に「冬の陽」で日展初入選を果たし、2005年に「紅楼依緑(こうろういりょく)」で日展特選を受賞。
日展、白日会の活動を中心に、全国主要都市の美術館を中心に個展を開催している。現在日展会友、白日会正会員。
【展示内容】(全23作を展示予定)
本展では、ジュディ・オング倩玉の作品の中から、「日本の風景」・「中国の風景」と大きく二つのテーマに分けて、作品を紹介しています。「日本の風景」では、「京都」と、当館の地元「名古屋」の作品を選出し、彼女の愛した“日本の風景”を辿ります。ジュディ・オング倩玉は、「日本家屋は大和民族が日本の気候風土、食文化、生活文化のすべてに適応するように無駄をすべてそぎ落とした、美しい最高傑作」と語ります。彼女は中国と日本それぞれの文化を身に備えた“日本育ちの外国人”として、日本人でも見落としがちな日本家屋の合理性や、美しさを見つけ出し、多色刷りの版画作品として再現していきます。そして日本建築が持つ美しさだけでなく、そこに共存する京都の四季の折々の自然の美しさも見事に表現されています。
また名古屋は、当館の分館爲三郎記念館を取材した「華堂初夏」はじめ、日展特選を受賞した名古屋市中村区の“料亭 稲本”(当時)を取材した「紅楼依緑」など、名古屋にある日本家屋を取材した作品も数多く制作しています。当地とジュディ・オング倩玉との縁(えにし)をどうぞお楽しみ下さい。「中国の風景」では、ジュディ・オング倩玉の作品を鑑賞上での大事な要素の一つである、“中国人としての美意識”に着目し、「日本で見つけた中国の風景」という小テーマを設け、日本文化の中で息づく中国文化をとりあげた作品をご紹介します。
また、2000年に初めて故郷台湾の茶藝館をモチーフにした作品『微風柔水』を制作して以降、中国に取材した作品も手がけています。これら日本で見つけた中国の風景から、中国を題材とした作品まで約9点をご紹介します。そして、本展の一番の注目作品として、日展最新作の「華燈翠園」をご紹介します。本作は長崎・丸山にある料亭「花月」を題材にしています。画面中央の「花月」のシンボルでもある提灯は、「大きな提灯の迫力に圧倒され、これを作品にしなくては」というジュディ・オング倩玉の言葉通り、この作品の要であり、その存在感とを余すところなく表現しています。本展を通して作品に漂う臨場感と、その美しい風景、そして対象を愛するジュディ・オング倩玉の心と触れあう機会としていただければ幸甚です。
会期 | 2012年5月19日(土)~7月16日(月・祝) |
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休館日 | 月曜日 ※臨時休館6月21日(木)13:00から |
開館時間 | 10:00~17:00 (入館は16:40まで) |
観覧料 |
爲三郎記念館との共通券
|
主催 | 公益財団法人古川知足会、中日新聞社 |
協賛 | 野村證券株式会社、積水ハウス株式会社 |
後援 | 愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会 スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社 |
協力 | 株式会社ヒーモリ、財団法人民族衣裳文化普及協会、泉水きものインスティチュート、 株式会社山本寛斎事務所、松竹衣裳株式会社 |
企画協力 | 株式会社ステップ・イースト |
分館爲三郎記念館“竹田耕三の有松絞りの世界”
有松絞りは、江戸時代に東海道沿いの宿場町から生まれた産業であり、世界の絞り技法の7割が有松で考案されるなど世界に誇る日本の文化です。有松絞りの旧家に生まれ、江戸時代より続く有松絞りの研究者でもある竹田耕三は、有松絞りの伝統技術を後世に伝えるほか、その類稀なる華麗な技術を世界へと発信し、その可能性を幅広いジャンルで発揮しています。また、有松絞りと相性もよい「藍」色が助けとなり、現在では「絞り」は「SHIBORI」として世界共通語として定着しています。本展では、有松絞りの美を追求する竹田耕三氏が見せる藍染めの華麗なる技をお楽しみ下さい。
≪竹田耕三≫
1946年、名古屋市、有松絞りの旧家に生まれる。
1969年、京都にて手描友禅の染匠・4代目田畑喜八に師事。
その後有松に戻り、古い有松絞りの資料を参考に研究をかさねる。
その過程で400年続く有松絞りには藍染めの技術が不可欠であることに気付き、
1973年、本藍染めを有松で復活させる。1982年には有松絞りの技法解説書の『日本の手絞り』を
出版し、世界に向け有松絞りを発信。2003年故杉本健吉画伯とのコラボレート作品を制作。
2004年には山本寛斎ライブパフォーマンス「アボルタージュ」での絞り衣裳制作。
また、2006年、衣裳デザイナー・ワダエミ氏よりTBS正月特番「里美八犬伝」での衣裳協力依頼があり、
絞り着物を制作するなど、幅広いジャンルで有松絞りを発表する。その他、絞りの国際会議や作品展を
開催し、有松絞りをはじめとする日本の絞りを世界の絞りに育て上げる文化活動に情熱をそそぐ。
★作品入替【後期展示】のお知らせ★
6月19日(火)より 一部展示の入替をいたします。また、邸内の襖を取り外し、『葦戸(よしど)』に変更いたします。
有松絞作品と合わせ、“よしず”越しに見える景色、数寄屋空間もぜひ、お楽しみください。
会期 | 2012年5月19日(土)~7月16日(月・祝) |
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休館日 | 月曜日 ※臨時休館6月21日(木)13:00から |
開館時間 | 10:00~17:00 (入館は16:40まで) |
観覧料 |
古川美術館との共通券
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主催 | 公益財団法人古川知足会、中日新聞社 |
協賛 | 野村證券株式会社、積水ハウス株式会社 |
後援 | 愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会 スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社 |
協力 | 株式会社ヒーモリ、財団法人民族衣裳文化普及協会、泉水きものインスティチュート、 株式会社山本寛斎事務所、松竹衣裳株式会社 |
企画協力 | 株式会社ステップ・イースト |
《次回展のお知らせ》
■展覧会名: 古川美術館企画展「東海の画家」(仮称)/分館爲三郎記念館 季節の設え
■開催期間: 平成24年8月4日(土)~9月30日(日)